余市町でおこったこんな話「その179 余市“ニシン博物館”盛大に開館披露」
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モイレ山の頂上に余市水産博物館が開館したのは今から50年前の昭和44(1969)年のことです。
北海道百年地域記念事業として持ち上がったこのお話は、開館6年前の同38年に郷土博物館設立期成会が結成されたことがきっかけでした。これは水産試験場の移転話がでた頃と重なり、同場の中には国の機関の北水研が所有する標本などが展示された博物館がありましたが、こことは別の博物館を作ろうという声が町内から上がったからのようです。建設費用を賄うための基金を立ち上げることとなり、町内からも寄附を募りながらの3年計画を盛り込んだ陳情書が議会へ提出されて採択されたところまでは、順調に進みました。しかし翌39年には町の財政状況が悪化して、新規事業が一切凍結となり、計画は4年後に再開とはなりましたが、果たして実現できるのか関係者は気が気ではありませんでした。
再び事業が動き出したのは翌43年、北海道知事から一支庁管内一件の開道百年記念事業を行うよう通知が届いたことがきっかけでした。期成会の中心メンバーたちは町に働きかけて、海野町長(当時)に後志町村長会議の席上で、博物館建設への協力を呼びかけてもらい、参加した町村長らはそれに同意、北海道百年記念地域事業の計画書が北海道へ提出されました。
期成会は今度こそと結束をかため、余市水産博物館建設促進期成会と名を改め、北海道の補助金3千万円、町費1千5百万円、大口の寄附8百万円、町内からの一般寄附2百万円の合計5千5百万円を集めることになりました。このうち町内一般寄附は、黒川方面90万円、大川方面80万円、沢町方面30万円と割り当てが決められ、結果、予想以上の寄附が集まりました。
同43年6月12日、ついに工事開始の起工式が行われ、この年の11月に工事は終了しました。記録を見ると、展示する資料の準備など開館までに時間は残されておらず、厳しいスケジュールの中で作業が進められたからなのか、当初5月に行われる予定だった開館記念式典は6月3日に延期されました。
新聞報道を見ると、開館式はこの日11時から、町村道知事らをお招きして4人を集めて行われたとあります。屋上を予定したものの、あいにくの雨で式典会場は館内に変更となりました。記事によると「続々つめかけた参列者は三階式場にあふれ身動きできない。胸に大きな造花を飾った町村知事が注がれたビールを一口、メガネを押し上げ、海野町長が話しかける。テレビのカメラがそれを追う…(中略)…開館、式典、祝宴の準備に裏方をつとめた役場職員たちは、無事終了に肩の荷をおろした面もち。二カ月足らずの資料集め、連日の深夜作業でヘトヘトになりながら、二日夜は最後の仕上げに一睡もしなかったという企画課などの職員、開館準備運営委の人たちはまぶたをはらして盛大だった式典、祝宴を見守っていた」
博物館は新たな50年を迎えます。
写真:よいち水産博物館開館記念式典の様子(『広報よいち』昭和44年6月号)
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