余市町でおこったこんな話 その73「怪談」
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昭和27(1952)年の真夏のある夜、今はない町内の火葬場に余市新聞社長、整理員(?)、理髪業、水試職員、お寺の住職が集まりました。集合時間は夜の10時、ローソクを灯してそれぞれが聞いたことのある怪談を披露しました。その内容が「郷土に因む怪談會」として月刊郷土誌『よいち』8月号に掲載されています。
以下にお話の一部を抜粋して紹介します。合掌。
火の玉
「火の玉なんて、あるもんかね」
「あるとも。生きている火の玉は青光りしている。死んだ火の玉は、だいだい色でふわふわと飛ぶ。」
「生きている火の玉って何かね。」
「まだ死なぬが、もう死ぬという人の火の玉だよ。こいつが、親戚まわりをして歩く。」
幽霊カムチャッカから来る
「カムチャッカで死んだ息子が余市まで来た話もあるよ。夜中に凄い雨が降ったそうだ。何だか枕をゆする者があるので、目をさましたら全身びしょ濡れの息子が枕もとに座って居る。カムチャッカへ稼ぎに行ってたので、もう帰って来たか、それにしてもこんな雨の夜中に帰ってくるとはどうしたことか、とその母親が起き上がった。
すると息子の姿はすうっと消えてしまった。はてこれは、と思っていると突然電報でカムチャッカの息子が水死した電報が来た。死んだ時刻が前の日の夜で、まる一昼夜かかっている。魂もあんまり遠いところから来たので時間がかかったんだろうと云う話だった。
翌日、お母さんが寝ていた枕もとは、息子が座った跡がびっしょり、畳がぬれていたとの事だった。」
かまの前で女のひそひそ声
「人の死がありますと、火葬場に通知が来ることがあります。」
「どんな。」
「夜中にかまが鳴るんです。かまは3枚戸になっている。その中の中戸(実際にかまの方へ皆を案内して、仏様の姿を描いている上下に動く中戸を押し上げて落としてみました。するとガラガラ、ダーンという大きな音が夜の火葬場に響きました。)がこんな音がするんです。私達はこの音を聞いては、ははあ、明日あたりどなたかが亡くなった人を火葬するのだと思う。あれは(いくつかあるかまの)何番目のかまの戸が鳴ったんだと注意しておき、仏様が到着されたらそのかまを使ってあげることにしている。」
「真夜中に(入口の)戸がすーっと開くと、(その後)女の人達が四、五人おしゃべりを始める、かまの前を行ったり来たりする足音(がする)。まるで葬儀に来てお骨になるのを待っているような状態である。」
月刊郷土誌『よいち』の別の号にも「十銭ばばあ」という題で、大浜中に起きた不思議なお話が掲載されています。創作されたお話のようですが、郷土を舞台にした怪談です。
図:怪談の挿し絵(月刊郷土誌『よいち』より)
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