余市町でおこったこんな話 その52「余市の伝説(アイヌ民族の伝承)」
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前回まで2回にわたってアイヌ民族にまつわる伝説を紹介しました。余市町には他にも神様の岩であるローソク岩が怒ったお話、赤い目をした怪物が海にあらわれたお話などがあります(図書館で読むことができます)。
今回は山や岬を舞台としたお話を紹介します。
イヨチコタンの戦い(余市町『郷土誌』ほかから)
余市にはじめてアイヌ民族が住み始めた頃、突然、フルカチャシにサルアイヌ(日高地方沙流川流域のアイヌ民族)60名ほどが赤井川方面から余市川を沿って攻め下ってきました。チャシとは「砦」、「城」、「柵囲いされた場所」を指すアイヌ語で、祭りや相談をする神聖な場所のことをいいます。フルカチャシは後に天内山チャシと呼ばれた遺跡で、現在の東中学校の北東側の丘陵にありました。
サルアイヌが攻めてきたとき、その怪しい物音を聞きつけた長老がチャシの外に出ると、敵が大勢向かってくるのが見えました。長老が驚いて戻ろうとしたとき敵の矢が放たれ、かぶっていた兜の後ろが運悪くはね上がり、あらわになった首筋に矢が刺さって死んでしまいました。
余市に住んでいたアイヌの人たちは、近くの集落に援軍を求めて戦いの準備をしましたが、急に雷が落ちて敵の大半が死にました。やがてオショロ、デタリヒラ(現白岩町)、ユウナイ(現豊浜町)、フルビラから集まった援軍とともに戦ってついに敵を全滅させました。その時の雷を余市アイヌの人たちは雷神様(カンナカムイ)として崇めました。
その後、余市アイヌはモイレ山やハルトリ(現浜中町)、河口などに集落を広げて常に油断せずに敵に備えたので、強い集団になったと言われました。
フゴッペ岬のチャシ(『アイヌの伝承とチャシ』ほかから)
フゴッペ岬(小樽市蘭島との境界)の上に男二人と女一人の兄弟が住むチャシがありました。この兄弟は意地悪で、忍路や余市のアイヌの人たちが岬の下を通りかかると上から石を投げて悪さをするので困っていました。
ある春のこと、ニシンの大群が浜に押し寄せて白子で海が真っ白になりました。忍路のアイヌが近くを歩いていると、岬の上へ点々とニシンのうろこが続いているのがあり、上へ通ずる路があることがわかりました。
それまでは兄弟の住処がわからなかったのですが、忍路と余市のアイヌが協力して岬の上まで続く道に沿って攻め入り、その兄弟をついに殺すことが出来ました。
その後は、そのチャシに人が住むことはなかったそうです。
図:フルカチャシ(天内山チャシ)の見取図(右下が東中学校方向、『天内山』より)
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