○余市町自治基本条例
平成29年12月21日
条例第24号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 町民
第1節 町民の在り方(第5条―第7条)
第2節 町民参加(第8条―第10条)
第3章 議会(第11条・第12条)
第4章 町
第1節 町の基本事項(第13条―第15条)
第2節 行政運営(第16条―第18条)
第5章 まちづくり
第1節 ひと(第19条)
第2節 くらし(第20条―第23条)
第3節 しごと(第24条)
第4節 情報共有(第25条―第28条)
第5節 意見交流(第29条)
第6章 住民投票(第30条)
第7章 交流・連携(第31条―第34条)
第8章 条例の位置付けと見直し(第35条―第37条)
附則
私たちのまち余市町は、日本海に面し、突き出たシリパ岬はまちのシンボルとして愛されています。古くは、にしん漁でにぎわい、多くの開拓者により余市りんごが実を結びました。とうとうと流れる余市川、豊かな気候・風土が生んだ果物、ウイスキー、ワインは私たちの誇りであり宝です。
自然環境などの変化に対応し、多くの産業を創造し、まちを形成してきた先人たちの意志を受け継ぎ、次代へと伝えていかなければなりません。
誰かがまちをつくるのではなく、私たち一人一人が自覚と責任を持ち、知恵を出し合い、お互い支え合い、地域への関わりを持ち、より豊かな、より安全な、より過ごしやすいまちを目指し、行動することが必要です。
町民、議会及び町のそれぞれの役割や関係が明らかになるように、私たち一人一人の行動を手助けできるよう、まちづくりの基本となるこの条例を定めます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、余市町の町政運営の基本理念を明らかにするとともに、町民、議会及び町のそれぞれの役割や責務を明確にし、協働で取り組むまちづくりのために必要な事項を定めることにより、町民自らの意思に基づいた自治の実現を図ることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において使用する用語の意義は、次のとおりとします。
(1) 町民 町内に住所を有する人、又は町内に通勤する人若しくは通学する人、若しくは事業者をいいます。
(2) 事業者 町内で事業活動その他の活動を行う団体又は個人をいいます。
(3) 町 町長をはじめとする執行機関を含む地方公共団体としての余市町をいいます。
(4) まちづくり 町民が住みよく安心して暮らせるまちをつくるための活動をいいます。
(5) 協働 多様な主体が対等な立場で、共通の目的に向かって、ともに力をあわせて活動することをいいます。
(6) 町民参加 まちづくりに関して町民が責任をもって自発的に関わることをいいます。
(基本理念)
第3条 余市町の自治の主体は、町民を基本とします。
2 町民は、町民憲章を心得として、まちづくりを進めるものとします。
(基本原則)
第4条 余市町の自治は、地方自治の本旨に基づき町民自らがまちづくりに主体的に取り組むことを基本とし、議会及び町長は、町民の信託に基づき政策を定め、町政を運営するものとします。
2 まちづくりは、年齢、性別、国籍、心身の状況、社会的又は経済的環境等の違いに関わりなく、個人の人権を尊重し、国際化が進む中、異なる文化や価値観を認め合う文化を育むことを基本とします。
3 町民及び町は、まちづくり及び町政に関する情報を共有するものとします。
4 町民及び町は、広く自治を担う人材を育成するとともに、協働によるまちづくりを進めます。
第2章 町民
第1節 町民の在り方
(町民の基本姿勢と役割)
第5条 町民は、住民自治の基本を理解し、自ら考え、行動し、まちづくりの主体としての役割を果たすよう努めます。
2 町民は、互いの自由と人格を尊重し合い、連携協力してまちづくりに努めます。
3 町民は、町民の信託に基づいて定められた条例などを遵守するものとします。
4 町民は、ひとしく行政サービスを受けるために必要な負担を分任するものとします。
5 町民は、まちづくりの主体として自ら考え、行動し、自らの発言及び行動に責任を持つよう努めます。
(町民の権利)
第6条 町民は、議会及び町の保有する情報について、知る権利を有するとともに、まちづくりに参加する権利を有します。
2 町民は、ひとしく行政サービスを受ける権利を有します。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、地域社会の一員として、その活動を通じ、又は持てる資源を活かして、産業、教育、文化、環境等の分野で地域に貢献するよう努めます。
2 事業者は、社会的な役割を認識し、従業員等の行う地域活動にも配慮して、住みよい地域社会の実現に寄与するよう努めます。
第2節 町民参加
(町民参加)
第8条 町民は、まちづくりの主体であるという原則に基づき、町政に参加することを基本とします。
2 町は、町政に広く町民が参加する機会を保障し、積極的に町民参加を推進するものとします。
3 町民参加に当たっては、その自主性が尊重されるとともに、参加すること又は参加しないことによって不利益な扱いを受けるものではありません。
(町民意見の公募)
第9条 町は、重要な政策、計画等の策定に当たり、事前に案を公表し、町民の意見を聴き、その政策、計画等に反映させるとともに、提出された町民の意見に対する町の考え方を公表するものとします。ただし、緊急性を要するものについては、この限りではありません。
(町民活動)
第10条 町民は、自ら行う活動が安定的かつ活発に行うことができるよう町民活動団体を組織することができます。
2 町は、前項の町民活動団体の役割と活動を尊重します。
第3章 議会
(議会の責務)
第11条 議会は、町政における二元代表制の一翼を担い、町民による直接選挙で選ばれた議員によって構成される意思決定機関として、その機能を果たす責務を有します。
(議員の責務)
第12条 議員は、町民の信託に応え、公平、公正かつ誠実に職務を遂行する責務を有します。
第4章 町
第1節 町の基本事項
(町の役割と責務)
第13条 町は、条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令等に基づく事務を執行する役割を有します。
2 町は、前項の役割を達成するため、自らの判断と責任において、公正で誠実に事務を管理し、執行する責務を有します。
3 町は、町民の信託に基づく町政を効果的で効率的に執行する責務を有します。
4 町は、町民の意思を反映するまちづくりを進めるため、情報の共有と町民参加により、連携協力して透明性の高い町政を執行する責務を有します。
(町長の責務)
第14条 町長は、この条例の目的達成のため、全力を挙げてまちづくりを推進する責務を有します。
2 町長は、町民の信託に応え、公正かつ誠実に町政を執行し、町民に対し、説明を果たす責務を有します。
(職員の責務)
第15条 町の職員は、町民が自治の主体であることを認識し、公正かつ適正に職務を遂行する責務を有します。
2 町の職員は、町民との信頼関係を深めるため、町民の視点に立ち、自らも地域の一員として自覚し、まちづくりに積極的に参加するとともに、全力を挙げて職務を遂行する責務を有します。
3 町の職員は、まちづくりの課題に対応するため、互いに連携を密にするとともに、政策の企画及び立案並びに町民の求めることに的確に対応できるよう創意工夫し、自己研さんする責務を有します。
第2節 行政運営
(総合計画)
第16条 町長は、総合的かつ計画的な行政運営を図るための長期的な方針を定めた基本構想及び基本計画(以下「総合計画」といいます。)を策定します。
2 各分野の政策を実現するために策定する計画は、総合計画との整合を図るものとします。
(財政運営)
第17条 町長は、総合計画を踏まえ、中長期的な財政見通しに留意しながら予算を編成し、計画的かつ健全な財政運営に努めます。
2 町長は、財政の状況について、町民にわかりやすく公表するものとします。
(危機管理)
第18条 町は、災害、不測の事態等の緊急時に対処するため、機動的な危機管理体制を確立し、町民の生命及び財産を守るために必要な措置を講じます。
2 町民は、緊急時において自ら身を守り、また、相互に助け合い、行動できるよう日頃から防災等に対する意識の高揚を図り、地域が一丸となった協力体制の整備に努めます。
3 町民及び町は、あらゆる危機に対応するため、常に連携します。
第5章 まちづくり
第1節 ひと
(子育て及び教育の推進)
第19条 家庭、町民、学校等及び町は、深い連携によって、次代を担う子どもたちの健やかな成長及び郷土愛を育むための特色ある教育に取り組み、あわせて、まちづくりの担い手となる人材を育成するよう努めます。
2 家庭は、子育ての主体となり、子どもを守り、しつけ、心身の健康を維持するよう努めます。
3 町民は、関係する機関、団体等と連携して、子どもの安全の確保と子育ての推進に努めます。
4 学校等は、保護者、地域とともに子どもに対する知育、徳育、体育、食育等の充実に努めます。
5 町は、子育て及び教育に関し必要な政策を実施するものとします。
第2節 くらし
(町民の活動との連携)
第20条 町は、町民のさまざまな活動に対等な立場で連携協力して、地域の課題に取り組み、協働のまちづくりを推進します。
(コミュニティの推進)
第21条 町は、豊かな地域社会づくりとその継承に自主的、自立的に取り組んでいるコミュニティが自治の推進に大きな役割を果たすことを認識し、その活動を最大限に尊重します。
2 町は、コミュニティの自主性、自立性に配慮しながら、その活動の推進に役立つ地域情報の提供その他支援に努めます。
3 町民は、コミュニティの活動を推進していくため、互いに権利を認め、協力し、情報提供を行い、その活動に積極的に参加するよう努めます。
(健康の増進及び福祉の向上)
第22条 町民及び町は、健康増進及び福祉の向上を相互理解と協力の中で推進するため、地域社会における連帯意識を深めるよう努めます。
(保健、医療及び福祉の連携)
第23条 町は、保健、医療及び福祉に関する機関、団体等との連携を図り、町民が必要なときに適切なサービスを受けることができるよう努めるとともに、町民に心理的及び物理的障壁を感じさせないまちづくりを進めます。
第3節 しごと
(産業の振興と職場づくり)
第24条 町民及び町は、豊かな自然や温暖な気候による特色ある風土を活かした産業の振興を図るとともに、働く場の確保及び移住の受入れ促進に努めます。
2 町民及び町は、次代の人たちが魅力を感じ、誇りを持てる職場づくりに努めます。
第4節 情報共有
(情報の公開)
第25条 町は、町民に開かれた町政運営を推進するため、町が保有する情報をわかりやすく提供し、公開するよう努めます。
2 町が保有する情報については、別に条例で定めるところにより、情報を公開します。
(情報の共有)
第26条 町民及び町は、まちづくりに関する情報を積極的に収集し、提供し合うことにより、情報を共有してまちづくりの推進に努めます。
2 町は、町政に関する情報をさまざまな手段を用いて、わかりやすくかつ速やかに提供するものとします。
(説明責任)
第27条 町は、公正で開かれた町政を進めるために、町政に関して町民にわかりやすく説明します。
(個人情報の保護)
第28条 町は、個人の権利及び利益が侵害されないように、その保有する個人情報について、別に条例で定めるところにより、適正な保護を図ります。
第5節 意見交流
(町民との意見交流)
第29条 町は、町政の状況把握及び改善の検討、実施事業の更なる活性化に向けての取り組み、地域の特色を活かす工夫等について、意見交流する場を設け、町民が参加するまちづくりを推進します。
第6章 住民投票
(住民投票の実施と取扱い)
第30条 町長は、町政に関する重要な事項について、直接、町民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
2 住民投票の実施に関し必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定めます。
3 町長は、住民投票を実施するときは、その結果の取扱いを事前に明らかにします。
第7章 交流・連携
(国及び北海道との連携協力)
第31条 町は、地方自治の本旨を踏まえ、それぞれの適切な役割分担のもと、国及び北海道と連携協力します。
(他の地方公共団体等との連携協力)
第32条 町は、近隣市町村その他の地方公共団体及び関係機関と積極的な情報交換及び相互理解を図り、連携協力して広域的な共通課題の解決及びまちづくりに取り組みます。
(町外の人々との交流及び連携)
第33条 町民及び町は、近隣市町村の人々と環境、福祉、観光等共通する課題について積極的に情報交換を行い、交流を深め、公共的な社会基盤等が広域的に活用されるまちづくりに取り組みます。
(国際交流及び地域間連携)
第34条 町民及び町は、国際化社会において、多様な文化の共生を目指すまちづくりを進めるため、姉妹都市等との交流を図り、互いの文化や価値観の理解、尊重に努め、国際感覚豊かな人材を育成します。
2 町民及び町は、交流都市等と教育、文化、産業、観光などの交流及び連携を図り、地域社会の発展を進めます。
第8章 条例の位置付けと見直し
(条例の位置付け)
第35条 この条例は、本町の自治の基本を定めるものであり、町民、議会及び町は、これを最大限に尊重するものとします。
(町民自治推進委員会)
第37条 この条例を守り育て、実効性を高めるため、余市町民自治推進委員会(以下「町民委員会」といいます。)を設置します。
2 町民委員会は、町長の諮問に応じるほか、この条例の基本的事項について意見を述べることができます。
3 町民委員会の組織、運営その他必要な事項は、別に規則で定めます。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。
(余市町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 余市町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和35年余市町条例第2号)の一部を次のように改正する。
別表統計調査員の項の次に次のように加える。
町民自治推進委員会 | 委員 | 日額 4,000円 | 1,500円 | 同上 |