−その24− 余市駅の巻  
 余市駅は明治35(1902)年12月、北海道鉄道会社による然別―蘭島間の開通にあわせて開業しました。
 昭和のはじめには駅長以下、貨物係、小荷物兼改札係など27名の職員が常駐し、保線手の詰所もありました。
 1万坪を超える敷地面積に98坪ほどの駅舎があり、昭和6年の年間乗降客数は50万人を超え、ニシンをはじめとする水産物やリンゴを中心とした農産物など多くの貨物も取り扱い、行商の人たちで賑やかでした(後の昭和27年には800名もいました)。
 開業後すぐにリンゴの駅売りが始まり、列車がホームに入ると「リンゴー、リンゴー」のかけ声が聞こえていたそうです。
 リンゴ1斤(約600g)が1銭5厘(100銭=1円)で売られ、最初はカゴ入りでしたが、後に木綿糸製の網袋が町内の駅売り業者により考案され、全国からその網袋の問合せが殺到したそうです。
 昭和27年には余市駅は開設50周年を迎え、同年秋の余市リンゴ祭りにあわせて記念映画会や座談会などのお祝いの行事を催しましたが、翌28年5月、駅前を含む黒川町の広範囲に被害を及ぼした火災により駅舎が焼失してしまいました。
 仮駅舎が利用されたのは10ヵ月間ほどで、同29年3月には3千200万円余りを投じて建てられた鉄骨ブロックによる耐火建築の新駅舎が完成しました。
 昭和44年には「ツバメの楽園余市駅」の報道が見られます。
 新駅舎が出来て間もない頃からツバメが巣づくりを始め、同年には待合室の軒下やホームの天井に百数十個の巣があり、700〜800羽のツバメが見られました。
 駅員さん達は落ちたヒナを巣に戻し、ヒナを狙うカラスを追い払い、巣の周りの手入れをするなどして「ツバメの楽園」を守りました。もちろん乗降客をフンから守るためのフン受けの板を張るなどの対策も講じられていました。
 こうした駅員さんによるツバメの愛護活動が注目され、この年の愛鳥週間にあわせて、余市駅は北海道林務部から感謝状を授与されました。
 熱心なツバメの愛護活動は、当時の国鉄のシンボルマークがツバメだったことと関係があるかもしれません。
かつての「余市駅前」
 その駅舎も40年余りが経過し、老朽化が目立ち始めた平成3(1991)年にはJR北海道が駅舎の新築に乗り出します。
 余市町による情報センター(仮称、当時)と連結された駅舎の構想が立てられ、同8年3月19日に新余市駅が開業、4月には情報センターだけでなく自慢のトイレと物販施設をあわせたエルラプラザも開業し新しい余市の顔となりました。