その146  ミス観光余市

  昭和33(1958)年8月17日に『区会だより臨時号外』が発行されました。内容は「ミス観光余市募集」の募集要領でした。募集期間は8月17日から10月17日までの2か月間、余市町在住者で満18歳以上30歳未満の未婚女性、候補は各区会、職場、団体、個人推薦のいずれでもよく、ただし本人の承諾を得てから推薦書に記入し、役場の中にあった観光事務局宣伝部に9月10日までに提出とあります。 
 ミス観光余市の審査前には「ミス候補入選選挙」があって、投票箱は町内の指定された菓子小売店(大川町5か所、黒川5か所、沢町5か所、栄町1か所、登町1か所、豊丘町1か所、白岩町1か所、潮見町1か所、豊浜町2か所の計22か所)にありました。最終投票数の上位10位までがミス候補として選ばれ、審査委員会で面接テストを行って決定される仕組みでした。
 投票するには町内のお菓子屋さんで売られているフルヤのキャラメルを買い、その箱の中に入っている投票用紙に候補者の氏名を書いて投票します。10円のキャラメルには投票用紙が1枚、20円のものには2枚入っていました。
 主催は余市観光委員会、余市観光協会、古谷キャラメル株式会社の3者で、審査委員7名の筆頭には「余市町フルヤのキャラメルKK社長」とあり、続いて同社サービス課長、余市観光事業部長、同宣伝部長、同副部長2名とあります。臨時号外紙面の最下段には大きく「フルヤのキヤラメル」の広告が躍り、古谷キャラメルが大々的にタイアップした企画でした。
 9月1日の『区会だより』には、8月30日現在のミス候補者10名の名前が見えます。大川町の方が6名と多く、続いて黒川町2名、浜中町1名、登町1名でしたが、棄権された10名の名前も載っています。
 9月13日には『区会だより臨時号』が発行され、大きな見出しで、「ミス観光余市☆栄冠はだれに!!いずれもエレガントな候補者二十名立起」、続いて候補者20人の名前と年令、職業、住所があって、9月9日までの得票数が見えます。20名中、最高得票数は大川町の家事手伝いの20歳の方が340票、続いて登町の家事手伝いの21歳の方が323票と僅差で続いています。紙面の5分の1ほどのスペースにはフルヤのキャラメルが買える町内のお菓子屋、パチンコ屋、製麺店など120か所と、投票箱のあるお店33か所のお知らせがあって、ミス観光余市レースが日に日に過熱してゆく様子がうかがえます。
 2回目の中間発表は10月1日、沢町の漁業協同組合所属の19歳が4,494票で一躍トップに躍り出ました。2位は前回と同じ方で3,499票、3位は黒川町の北洋相互銀行勤務の23歳の方で2,205票、4位は前回トップの女性で1,704票でした。
 投票の最終結果は11月1日の『区会だより』に載りました。最高得票は前回3位だった方で、なんと2万890票、2位は前回と同じ方で16,642票、3位は前回7位の黒川町の19歳の方が12,895票を獲得しました。投票総数は199,724票で、役場職員が総出で開票作業をするまでになりました。1個10円のフルヤキャラメルが票の数と同じ数買われたことになります。ちなみに同年の余市町の人口は、住民基本台帳の9月末現在で30,339人なので、町民一人がキャラメルを6.5個買った計算になります。
 こうして候補者10名は10月25日に役場会議室に集合して審査が行われ、その日の午後7時にミス観光余市1名、準ミス2名が町内黒川町の電気館と大川町の新映劇場で発表されました。
 ミス観光余市の栄冠は得票数5位の方へ、準ミスには得票数3位と6位の方が決まり、電気洗濯機、洋ダンスなどの豪華賞品が贈られました。
 ニセの投票用紙が出回り、警察が事務局に立ち入ったという噂話がでるほどの過熱ぶりでしたが、この頃から観光の余市が本格的にスタートします。

 

▲写真:発表されたミス観光余市
(中央がミス、両側が準ミス『区会だより』昭和33年11月号)