−その1− 「余高とエゾサンショウウオ」の巻
 エゾサンショウウオは、北海道全域の森林などに生息し、成体で体長11〜18センチ、長い尾を持ち、背中の色は青味がかった暗い褐色の両生類です。
 現在は北海道の希少野生生物リスト(平成13年の改訂版)の保護に留意すべき種に指定されています。
 今から40年以上前は生態について不明な点が多かったのですが、余市高校生物部の努力によって、その多くが明らかにされました。
 余市高校から昭和40年に刊行された『研究紀要第一号』(発行は同校教育研究部)に掲載されている河上貢先生による「エゾサンシヨウウオの生態観察」にその努力の成果が報告されています。 
▲エゾサンショウウオ
 昭和36年春、入学が決まったある女生徒が、入学時の準備品のリストにあった解剖道具に惹かれ、河上先生が顧問をしていた生物部へ入部しました。 
   その女生徒の回想を『余高七十年』から引用すると、「ただひたすら解剖したい一心で入ったクラブがエゾサンショウウオの研究では日本一だということなど知りもしなかった。」、「乾いた道路を長靴を履いた一団がぞろぞろ、ぞろぞろ。私は恥ずかしかったが先輩は平気な顔。」とあります。
 生物部の一団が向かったのはシリパ山麓のエゾサンショウウオの生息場所でした。彼等は何年も続けて3月中旬頃から雪の残るシリパ山麓にテントをはり、1ヶ月弱にわたる観察を続けていました。
 昭和25年に発足した同部は、昭和32年頃からエゾサンショウウオの観察を始め、先輩から後輩へ研究内容をバトンタッチしながら研究を続け、新たな事実を発見し、前述の「エゾサンショウウオの生態観察」に詳細を報告しました。
 当時の新聞には、夜明けから早朝にかけて行なわれると思われていた産卵が、実は午後8時から真夜中だったこと、冬眠から目覚めたエゾサンショウウオが産卵する池までの雪の上を最短距離で障害物を乗り越えながら移動すること、またその移動は約80メートルを30分ほどかける速さであったことが掲載されています。
  ▲エゾサンショウウオの卵。カエルの卵と良く似ています。
 徹夜の観察や研究を続けた努力は、昭和35年の全日本科学教育振興委員会による第4回日本学生科学賞の1位の獲得など、多くの理科研究大会の受賞でその実を結びました。
 更にはアメリカの爬虫類学会の研究誌にも研究成果が掲載され、余高生物部の名は海外にまで届いていました。